法改正により構造計算や省エネ計算の業務が増える一方で、設計担当者をすぐに増やせる工務店は多くありません。ただ、外注は「人手が足りないから仕方なく使うもの」ではないと考えています。社内でしかできない仕事に集中するための経営判断として捉えると、活用の仕方が変わってきます。
なぜ今、工務店で設計業務の負担が増えているのか
4号特例の縮小や省エネ基準の適合義務化により、これまで以上に構造計算・省エネ計算・申請関連の実務が必要になりました。制度そのものへの理解も求められるため、担当者一人あたりの負担は確実に増えています。
一方で、設計担当者の採用や育成には時間がかかります。制度改正のタイミングに合わせて人員を増やすことは現実的に難しく、多くの工務店が「業務量は増えたが、人はすぐに増やせない」という状況に直面しています。
「全部内製化」「全部外注」以外の選択肢
外注を検討する際、「設計業務をすべて任せるかどうか」という二択で考えてしまいがちですが、実際にはその中間、つまり業務の一部だけを外部に出す「部分外注」という選択肢があります。必要な業務だけを、その業務を得意とする専門家へ依頼する考え方です。
これは設計担当者を雇わなくてよいという話ではありません。社内に設計担当者がいることを前提としたうえで、専門性が高い業務や一時的に集中する業務だけを外部に出すという考え方です。
どの業務を社内に残し、どの業務を外へ出すか
当社の場合、お客様との打ち合わせ、プランニング、意匠設計、現場管理、最終判断は社内で行っています。一方で、専門性が高く時間を要する業務や、一時的に業務量が集中する業務については外部の専門家へ依頼しています。
判断基準にしているのは、次の3点です。
- 社内でしかできない仕事か
- 専門性が高い仕事か
- 繁忙期だけ増える仕事か
工務店として本来一番時間を使うべきなのは、お客様との打ち合わせや家づくりの提案だと考えています。設計業務をすべて社内で抱えてしまうと、どうしても図面作成や計算業務に追われ、お客様への対応時間が減ってしまいます。
専門業務だけを部分的に外注することで、社内は提案や現場対応に集中でき、お客様へのサービス品質も維持しやすくなります。外注は「仕事を減らすため」ではなく、「社内でしかできない仕事に集中するための仕組み」だと捉えています。
繁忙期・法改正対応という使い方
部分外注が特に効果を発揮するのは、慢性的な人手不足への対応だけではありません。一時的な業務量の波を吸収する方法としても有効です。
繁忙期や法改正の直後は、設計担当者だけで対応するには負担が大きくなります。そうした時期だけ構造計算や省エネ計算、確認申請などを外注することで、残業や休日出勤を増やさずに済むケースもあります。
また、法改正直後は制度への理解そのものに時間がかかります。経験のある外注先を活用することで、社内教育にかかる負担も軽減できます。
単発外注から継続外注へ切り替える目安
継続的な外注を検討する目安は、「毎月継続して依頼が発生するようになった時」だと考えています。案件数そのものよりも、次のような状況が続いているかどうかが判断材料になります。
- 担当者が残業し始めた
- お客様への対応時間が減ってきた
- 設計変更への対応が遅れ始めた
- 確認申請が工程のボトルネックになっている
こうした状態が続くようであれば、継続的に協力してくれる外注先を持つメリットは大きくなります。忙しくなってから探すのではなく、余裕があるうちに相談できる関係を作っておくことが重要です。
依頼する前に社内で整理しておくこと
外注を成功させるためには、依頼する前に社内で役割分担を決めておくことが大切です。具体的には、次のような点です。
- 誰が窓口になるのか
- 図面は誰が確定するのか
- 設計変更は誰がまとめるのか
- 施主様との打ち合わせ内容は誰が共有するのか
- 最終確認は誰が行うのか
これらが曖昧なままだと、外注先とのやり取りではなく、社内の情報共有で時間を失ってしまうことがあります。外注先を増やすことが目的ではなく、社内と外部が一つのチームとして動ける体制を作ることが大切だと思います。
外注は「仕組み」であり、目的ではない
外注は、人手が足りないから仕方なく使うものではありません。社内でしかできない仕事に時間を使うための、経営判断の一つだと考えています。
外注を使うこと自体が目的ではありません。お客様への提案や、住宅の品質を高めることに時間を使えるようになることが本来の目的です。どの業務を社内に残し、どの業務を外へ出すのかを整理することが、その第一歩になります。
このような工務店様におすすめです
- 設計担当者の負担が増えている
- 法改正への対応に時間が取られている
- 繁忙期だけ外部の力を借りたい
- お客様との打ち合わせ時間をもっと確保したい
木造住宅の構造計算・省エネ計算・確認申請・長期優良住宅関連業務については、対応範囲をサービス一覧に、費用の考え方を料金案内にまとめています。繁忙期だけのご相談や、1案件からのご依頼も承っています。